奇想の系譜展と憧れの人
会いたい人にやっと会って来た。
人っていうか、作品。
何年前だったか、名古屋ボストン美術館でふら~っと行ってみた曾我蕭白展で、運命の出会いを果たした。
以来、大の蕭白ファン。それまで絵画にそこまでの「思い入れ」はなかった。
年に1度か2度あるかないか…蕭白の作品に会えるかどうか。それも、どの作品に会えるか…。去年は、名古屋ボストン美術館のラスト展示に1作品かかっていたキリで、昨年あった展示会は気づけば終わっていて、涙を呑んだ。
今回は、「奇想の系譜」という書籍に基づいた展示ということで期待できる。
2月から始まるもなかなかタイミングが合わなくて行けなかった。
終盤ぎりぎりにようやく行けた。
初めての東京美術館。
隣には上野動物園。
上野公園付近には、美術館や博物館が隣接していて、3軒くらいならハシゴできそうだ。
ほぼ朝イチで入場し、地下1Fの2番目に蕭白の作品が位置していた。そこで20分ほどを過ごし、階上へ上がるエスカレーター付近にいた係りのお姉さんに「また戻って来れるか」を確認。まずは1階の展示室へ(あまり記憶がない…)。さらに上へ2階の展示室は国芳が。
ふむふむ…と見た後、エレベーターで再度地下1階へ。蕭白の作品のうち、三重県のお寺にあるという「雪白童子」は、今後の作品展示の予定がなく、お寺でも展示の予定はないらしい。次にいつ会えるかわからないので、しっかりと目に焼き付けておく。
蕭白作品群の今回のメインと思われる群仙図屏風は、蕭白の作品集では表紙になったりしているし、色鮮やかでとても奇抜で、人々をくぎ付けにしていた。…つまり、ちょっと離れたところからは、下半分は人に隠れて全く見えない。
私は少し離れて全体像を眺めるのが好きなんだけど、今回「群仙図屏風」だけは、それができなくて残念。
隣の「雪白童子」は何度か目の前が開けたのだけれど…。
今回驚いたのは、「美人図」だった。
初めて見たのかどうか覚えていないけれど、上村松園さんの「花がたみ」に主題が似ている気がした。
上村松園さんの「花がたみ」に対峙したとき、涙が流れた。絵を見て泣いたのはこれが初めてだった。
今回蕭白の「美人図」に対峙したとき、一瞬あの時と同じような感情になった。
ところがしばらくすると、違う感情が流れ込んで来た。
松園さんの「花がたみ」の時には、本当に悲しくてかなしくて、やりきれないといった感情だったのだ。
蕭白の美人図では、「悲しい」というよりは、楽しい思い出に浸っているというか、彼女は、完全に過去に生きていた。だから、恨みがましいという気持ちもないし、ただただ、「手紙」を手にし、愛しい人にもうすぐ会える、あの人が帰ってくる…。そういうワクワクした気持ちでいるような気がした。
正気の「喪失度」でいえば、蕭白の方が120%ぐらいだろうか。
松園さんの「花がたみ」はどこか現実を理解しているように思った。
どちらも悲しいが、本人の悲しみが強いのは「花がたみ」だろうが、見ていてツライのは蕭白の方だろう。
私は絵画の専門家ではないので、これは「考察」ともいえないほどの「勝手な感想」だけれど、この「美人図」は事前にノーチェックだったので、そういう意味では衝撃的だった。
この後、隣の国立博物館へ東寺展に行くか、原宿のLINEFRIENDSに行くか迷って、後者を選んでしまった。春休みだし、上野から原宿まで山の手線で30分かかるのは全く考慮していなかった。
到着したら、案の定入場制限がかかっていて、並ぶのが嫌いなワタシは秒で退却。
池袋まで行って、東武の上のスタバで時間をつぶしつつ、軽くおなかにいれておくことにした。
13;30頃になって、移動。
次には「生きている」憧れの人に会いに。
伝説のパーソナリティ大橋照子さんだ。
「大橋照子のドキドキラジオ」というインターネットラジオをされている。
その収録に参加させていただき、その後朗読のレッスンを受けることになっている。
この日は、リスナーの方がお2人見学に来られていた。
おやつの数々。
収録後に「学長」さんからいただいた台湾のサイダー。
シップの味がするらしい。
まだ開ける勇気が無い。
朗読のレッスンは、60分だけれど、本当に濃い時間。
何しろ憧れの人を独り占めできるのだ。
約40年前の中学生だった私が聴いたら、ひっくり返るだろう。
いつもいつもラジオの向こう側にあった憧れの世界。
そして、その憧れの世界を構成していた、有名リスナーの方とも出会うことになるとは。
何より、自分もインターネットラジオを担当させていただいて、50回もの収録をさせていただけるとか。
照子さんと共にマイクの前に座るとか
人生何が起きるかわからない。
関係ないけど、作品がオールカラー印刷の新装版がめちゃくちゃ欲しい…。
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